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一般社団法人 熊本青年会議所

山口 章太一般社団法人 熊本青年会議所
2023年度 第69代理事長 山口 章太

はじめに
青年会議所は社会に対して何をもたらす組織なのか。私は熊本青年会議所という団体に対し多くの疑問を持っていました。ある人は「意識変革団体だ!」と言われる方もいらっしゃいましたが、同じ青年会議所メンバーでもその価値や存在意義は、発信する人や受け取る人によって大きく異なります。
私は、海や山に囲まれた地域で育ちました。小さいころから好奇心旺盛だった私は様々なスポーツ、文化、伝統に関心をもち、多くの経験をさせていただきました。そしてその学びの中からすべての物事に対してのチャレンジ精神が芽生えていたのかもしれません。何かに気づき、行動を起こすことに関しては、人よりも優れていたと今では思います。高校を卒業してから福岡の専門学校に通いながら整骨院で修業をして、25歳でこの熊本の地で独立開業しました。当初は、毎日治療に明け暮れ、外の世界を知ることなく仕事を続けてきましたが、その後、法人化し社長業として異業種の方々と触れ合うことが増えていきました。異業種仲間が増え始めたころ、青年会議所の方に出逢い、異業種の人がたくさんいて自己成長できる団体があるからとお誘いいただきました。それまで青年会議所という団体があるのは知っている程度で、何をしていて、どんな方々がいるのかもわからないまま仮入会させていただきました。初めて仮入会者オリエンテーションの場で、青年会議所に入会したらどんなことをしたいか発表する機会を頂き、私は皆さんの前で「私が熊本青年会議所を変えていきます」と豪語しました。しかし、熊本青年会議所に正式入会後は、活動に対して1~2年は活力を見出すことができずにいましたが、ある日の委員会で諸先輩方の熱い話し合いを聞き、自分もまちの為に、そこに住み暮らす人々の為に何かできるのではないか?自分がやらなければ誰がやるんだ!と強く心を震わせた事を覚えています。そして2019年軽井沢で行われた国際アカデミーに参加させていただき、世界各国の次世代を担う会頭候補者と共に過ごすことで青年会議所が私にとって必要不可欠なものに変わりました。気持ちが入った後は、多くの活動や事業に積極的に参画し、様々な経験をさせていただきました。時には笑い、時には泣き、時には悔しい思いをしたこともありましたが、先輩諸氏の方々から叱咤激励をうけながら多くのことを学び、私自身を大きく成長させていただいたと感謝しています。「先人が木を植え、後人が涼をとる」この言葉は「先人が後人の幸福を形作る」ということを意味しています。私は青年会議所においてこれまで受け継がれてきた歴史と、子育て世代、青年経済人でもある私たちが、自分たちの子どもの未来を見据え、運動していく伝道師とならなければなりません。世の中から社会課題はなくなることはありません。しかし一つでも減らすことはできます。青年が社会により良い変化をもたらす発展と、成長の機会を提供し続けてきたからこそ、残された私たちも歩みを止めてはいけません。しかしながら2020年突如として現れた新型コロナウイルスの影響により、世界中がパンデミックとなり、経済的、社会的に甚大な影響を及ぼし、この郷土熊本も例外ではありません。日本の歴史上ここまで疲弊したのは戦後以来ともいわれております。この未曾有の災禍の中、ロシアによるウクライナ侵攻や北朝鮮による核開発、中国との尖閣諸島問題など世界各地で問題が起こり始めています。こんな状況だからこそ「新日本の再建は青年の使命である」という戦後焼け野原になった日本を立ち直すべく、志を同じうする青年たちによって立ち上がった青年会議所が今一度、まちから、地域からそして日本のみならず世界中に波及させるべく様々な活動、運動をおこなうことによりニューノーマルな社会に先駆けて「明るい豊かな社会の実現」を改めて考える必要があります。
「九州コンファレンス主管の自覚」
2021年熊本青年会議所は、2023年度九州コンファレンスin熊本大会の主管を決定しました。2020年に創立65周年を迎えた折に5年後を見据えたまちづくりビジョンとして5つの提言を掲げその一つに「自然と人が共生する創造都市くまもと」をテーマに策定しました。平成28年熊本地震や熊本南部豪雨災害により被災し、そこから復興の道のりを歩んできた経験を活かしながら、今、そしてこれからのまちづくりに必要なことを発信し、地域社会一体となって活動しています。その後、度重なる自然災害により私たちの地域は大きな被害を受け、その爪痕は復興が進む今でも県民の心に深い傷を残しています。しかしながら、熊本地震により大きな被害を受けた県民のシンボルでもある熊本城は、被災前にもまして勇壮な姿を取り戻しつつあり、復興後の熊本のまちづくりに欠かせない存在です。九州コンファレンスでは、復興までの道のりから、災害を乗り越え復興した新たな熊本を発信する必要があります。そして自然災害をきっかけに自助、共助、公助の大切さについて身を以って体感し、行政との災害時協定締結など地域の他団体との連携も新たに構築できました。九州は災害大国と言われており、今やどの県でも災害が起こる可能性はあります。経験した私たちだからこそ伝えることの必要性やこれからの未来に対して継承していくものがあると強く感じています。また熊本市街地に目を向けてみると、近年ではサクラマチクマモトや熊本城ホールなど中心市街地開発、熊本駅ビルの整備、阿蘇くまもと空港の国際線拡大、アジア圏からのアクセスの良さを生かしたインバウンドの増加と相まって国際交流拠点都市としての魅力も高まっています。さらに熊本には熊本城、阿蘇山に代表されるような伝統文化や自然などの観光資源も豊富に存在しています。熊本大会を訪れる九州各地会員会議所メンバーの皆様にとっても参加しやすく、学びの多い機会になることは間違いありません。また多くの市民、各諸団体の方々に参加していただくことで、自分たちが住み暮らす熊本のまちの魅力と課題を再認識していただきます。同時に私たちが取り組むまちづくりについて熊本の未来を思い描くビジョンを共有することによって、その想いが若者からご年配の方まで広く伝播することになります。その結果、多くの市民が未来に夢と希望を描きそれぞれの行動を変えるための意識変革をもたらすと考えます。この九州コンファレンスを実施することは、LOMにとって大きな財産となることは間違いありません。熊本の発展の可能性を今一度、産学官民一体となり、九州地区各地会員会議所メンバーを迎え、歴史、文化、伝統をキーワードに九州地区協議会と共に進めてまいります。ただし、大会の開催が目的となってはいけません。大会を通じて準備、設営、実施、企画、運営を通して熊本青年会議所の本質を問い、会員間の交流や主管LOMとして学ぶ様々な経験が未来を見据えた熊本青年会議所の運動に連なることを目的としているからです。九州各地会員会議所メンバーに様々な災害等から復興した新たな熊本を知っていただく絶好の機会でもあり、熊本県内各地会員会議所のご協力を頂き熊本をひとつに総力を結集して成功に導いていきたいと思います。地域の行政、経済界、その他各界の協力を仰ぎサスティナブルな運動の展開を起こし、熊本青年会議所の体質を変えメンバー一人ひとりが一丸となって九州全土に広まる運動の展開と我々の思いを発信し成功に導きます。
「未来の子どもたちへ残していくもの・・・」
高度成長期を迎えた日本は、各地域でインフラ整備が始まり、多くの道路が作られました。スイッチを押せば電気がつき、蛇口をひねれば水がでる、こんな普段当たり前になってきている現代において、私たちは未来の子どもたちに何を残していくべきでしょうか。私が幼少期の時は、空き地がたくさんあり、近くには川や田んぼ、山があり、そこではいろいろな遊びをしてきました。現在の子どもたちを見てみると、公園こそ増えてきたものの、空き地がなくなり、チャンバラごっこや基地づくり、釣りや探検などをする遊ぶ場所もなくなりつつあります。しかし熊本市近郊を見てみると、西部に金峰山、東部には阿蘇外輪山に囲まれ、南部には白川の三角州で形成された低平野部からなっています。また県内全域を見わたせば北部には菊池高原近辺の川や森、天草には東シナ海を望む大海があり、人吉は一級河川の球磨川があります。この雄大な自然に囲まれた熊本の魅力を再発見し、未来の子どもたちに多くの自然体験をする場を与えてあげることも必要だと考えます。この時代で、自ら学び、発見し、考える力といった「生きる力」を育ませ、様々な体験をし、経験させることも大切だと思います。また近年では、AIやDX、IoT技術が飛躍的に進化し、遊び場をなくした子どもたちの生活様式が大きく変化しているとも言えます。パソコンやスマホを開けば簡単に多くの情報が入手でき、家にいながらゲーム機で友達と会話を楽しむなど、コミュニケーションのあり方も進化しているといえます。もちろんこれらがすべて未来に対しての警鐘とは言いませんが、時代と共に変化していくものと、残していくものが必要であるといえます。我々はひとりで生きていく事は不可能です。イギリスの政治家ウィンストン・チャーチルは、「私たちは、世の中から得たもので生きていくが、当然の事として、世の中に貢献することで人生を送らないといけない」と言いました。人は生きていく上で、自分の生き方、志、夢、そして人生の目標をはっきり定めることが重要です。そうすることで、自分の能力を最大限に生かし、世の中、社会に貢献しようとするのです。何よりも人生が充実し楽しくなる。そもそも、社会貢献というのは生きている以上、みんなが取り組むべきことです。チャーチルが言うように、私たちが生きていけるのは、他人の助けや協力あってのことだからです。食料一つ考えてもこのことは明らかです。田植えがあるから始まる稲作を例にとるまでもなく、食事でさえ、自分一人の手ではできません。だからこの世の中に生を享けた以上、何らかの形で社会貢献し、私たちは生きていく資格を得られるとみるべきです。仕事は、社会貢献の一つの典型です。「職業に貴賎なし」というのも、この見方からすると正しい格言です。自分にとって、最も社会貢献できるものを見つけ、それに打ち込むことが望ましいのは、言うまでもありません。私たち子育て世代の青年会議所メンバーが子どもたちに生きていく事へのすばらしさを伝えていきたいです。そんな子どもたちに様々な活動を通して自ら考え、行動する自立心を学ばせ、この時代を生き抜く「生きる力」を養い、どんな困難状況であってもあきらめない心を育む事業を展開していきます。
「ダイバーシティマネージメントでつくる新たなまちづくり」
青年会議所という団体はごみを拾う団体ではありません。ごみを捨てさせない社会を作る団体です。対処療法ではなく、根本療法を運動という形で社会に示していく事が我々の使命です。多様な市民が住み暮らす地域で運動を展開する為には様々な視点が必要となってきます。そんな中、近年、人権等の本質的な観点だけでなく将来的な少子高齢化による労働力人口の減少等に対応した人財確保の観点からダイバーシティに取り組む企業、団体が増加し始めました。ダイバーシティとは、多様性・多様な個性のことを意味します。そしてその中でビジネス誌でも多く使われているダイバーシティ&インクルージョンという企業に対して価値をつけていこうという考えがあります。そしてそのダイバーシティ&インクルージョンの妨げとなっているのがステレオタイプの思考の人間です。ステレオタイプの思考とは、人の属性をもとに先入観や固定概念で決めつけてしまうことです。そのステレオタイプの思考は、アンコンシャスバイアスの一つとされています。しかし人の思考とは社会通念上の固定概念になっていることが多く、経験から判断をしてしまいがちです。私たち青年会議所もこれまで多くの事業運動をおこなってきましたが、これからの時代は新しいダイバーシティ事業戦略として、これまでにない価値を見出すことが求められていると思います。ではなぜ今ダイバーシティなのか。それはテクノロジーによってあらゆる壁が無くなりつつあるからです。5000万人ユーザーを超えるために要した時間では、電話は50年、テレビは22年、パソコンは14年、フェイスブックは3年、ポケモンGOは19日と時代はとてつもない速さで変化していて、世界はフラット化し価値観は多様化しています。1974年アメリカの社会学者のマーク・グラノヴェッターは「弱い紐帯の強み」という仮説を立てました。これは人が転職をするときに、一番役に立つのは家族や仲のいい友人ではなく、ちょっとした知り合いであるということです。自分の身近にいる人間は、自分と同じ価値観、バックグラウンド、人脈を持っていて、本当に自分自身が困ったときに思いつく答えしか得られない可能性があります。しかしちょっとした知り合いとなると、自分とは全く違う価値観や人脈を持っています。それは自分が人生の局面であらゆるアドバイスが得られるということになります。異質であることには価値があり多様性を力に変えられることにつながり私たちはそんな時代に生きていることになります。そして私たちに必要なことは、多様な異なる個性を組織の強みに変えるダイバーシティマネージメントです。ダイバーシティマネージメントができなければ問題解決も組織の未来も作ることはできません。ダイバーシティマネージメントができる人財だけが生き残る時代に変化してきました。私たちは責任世代として、多様性あふれる社会を生き抜かなければいけません。めまぐるしい変化の中で多様性を活かして新たな価値を作らなければいけません。親世代として360°の視点から重要性を次世代(子どもたち)に伝えていかなければいけません。様々な市民が住み暮らす地域で運動を展開するには、多様な視点が必要となります。今一度組織を見つめなおし、多様性から生み出す新たなまちづくりを構築していきます。
「多様性から見た拡大運動」
日本の青年会議所は2001年から2022年までに会員数は約半減しました。この熊本青年会議所も徐々にではありますが減少傾向にあります。単に会員数の多いということが正しいとは思いませんが、組織として活動を続けていくためには会員拡大は必要不可欠であり。そして今後新たに青年会議所がターゲティングすべきは女性や若者層であり、入会しやすい環境を整える必要があります。青年会議所において女性活躍は、ダイバーシティ推進の第一歩となります。Z世代の特徴としてデジタル&テックネイティブ&スマホネイティブであります。組織として目指すべき姿はEquality(平等)ではなくEquity(公平)な形であると考えます。選択できる環境を整えそこに価値を見出す必要があります。熊本青年会議所メンバーも女性会員は1割ほどです。女性社会進出の一助を担うことが私たちも取り組むべき課題の一つであるといえます。その為には社会に大きなインパクトを与え、メンバー、市民に対して意識変革をし、モチベーションを上げ、多くの協力団体、組織を得て強みを生かしたコラボラティブ・パートナーシッ、多くの人と繋がり多くの人に知ってもらい多くの人に共感してもらえる団体でなければならないと思います。それは同じ志を持ち行動する人を増やすことが一番のインパクトがあるからです。多様な人たちが活躍できる組織になればサスティナブルに新しい価値を生む組織になれると私は信じています。現在、熊本青年会議所の7割はアカデミーメンバーとなっており、メンバー一人ひとりの意識改革、そしてスキルアップが必要不可欠となっており、個々の成長は急務であると感じています。単にスキルアップといっても幾多の、まず、第一に青年会議所にとって必要な議案構築スキルがあります。これまで私自身も出向することにより他LOMとの運動構築に対する考えや会議の在り方等において気づきを得ることが多々ありました。目まぐるしく変化する時代の中で変えなければいけないもの、変えてはいけないもの、そして青年会議所が長年続けてきたこの活動に対し敬意をはらいつつ、進化をしなければなりません。そして私たち一人ひとりがそのことをしっかり理解し、ブロック協議会だけでなく九州地区協議会、ひいては日本青年会議所に対してもグローバルな貢献をおこなう必要があります。全メンバーの意識変革をおこない、一人ひとりが各場所で活躍できる人財育成をし、新たな可能性を生みだしていく拡大運動を展開していきます。
「これからのまちづくり例会」
近年コロナ禍により、対外との交流が制限され、主にメンバー向けにテーマに沿った学びある講師例会を中心におこなってきました。しかしこれまで長年まちづくり、人づくりをおこなってきた青年会議所は、もっと市民に寄り添い共創する団体でなければいけません。しかし私たち青年会議所は市民の皆様からどれだけの支持を受けているのでしょうか。仕事先など青年会議所の話をしてもあまり理解してもらえず、まちづくり、ひとづくりを率先しておこなってきた私たちにとって一つの課題であると考えます。その為には、まず私たち青年会議所がどんな団体なのか市民に対してもっと発信をしてくべきだと思います。何をしていて、どんなことをやっていて、どんな人がいるのかをメディアを使い広く広報戦略をしていきます。市民に認知され、信頼され始めることがメンバーの拡大や一般参加型の事業等において参加動員を得られるはずです。また市民に対しもっと認知度を上げる活動もおこなうべきです。その為に市民参加型の公開例会を積極的におこなってまいります。現在、少子高齢化社会に伴う地域経済の悪化は日本において重要な課題といえます。熊本市も同様に中心街は中長期的困難にも直面しており、人口減少、特に45歳以下の生産人口減少による人財不足や地域経済の撤退が重要視されています。私たちのまちでも行政による積極的なDXの推進により効率的な行政手続きに向けた変革が取り組まれています。しかし企業が、どれほどデジタル化推進状況の実態について把握できているかは分かっていません。労働生産性の向上について課題を抱える企業の解決策をいち早く策定し社会課題解決を目指しまちをよりー層盛り上げていく必要があります。本年度は、もっとオープンな青年会議所を目指し、産学官民一体となった新しい青年会議所の創出をおこなう為の例会を構築してまいります。
「スポーツを通して見るまちづくり」
現在、熊本市には、著名なスポーツチームが多く存在します。Jリーグでは、2005年県民運動で発足し昨年J3からの復活を遂げたロアッソ熊本、Bリーグでは年間観客動員数全国トップクラスの熊本ヴォルターズ、九州独立リーグでは火の国サラマンダーズ、日本代表選手を有するアヴェルダージ熊本、多くのオリンピック選手を輩出している再春館製薬所バドミントンチーム、V.LEAGUE所属のフォレストリーヴズ熊本など多種にわたるチームが存在しています。一方で街中や、観客席を見渡せば、どれだけ多くの県民の支持を得ているのでしょうか。スポーツは、多くの感動と夢を与えてくれます。記憶に新しい東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では多くのドラマがありニューヒーローの誕生など私たちの生活に活気を与えてくれました。スポーツの力は無限大といわれています。私は、そのスポーツを通じて市民一体となる共創するまちづくりをする必要があると考えます。スポーツによる地方創生をおこない、スポーツレガシーとしてスポーツと市民をつなぎ、まちづくりを促進させる運動を通じて交流人口を増やし高付加価値コンテンツの創出に向けた取組みをモデル的に支援するほか、プロモーションの土台作りを強化していきます。まちとチームが一体型となった新たな価値の創造をおこない、メディアリテラシーを活用し地域により良い変化をもたらすまちづくり活動を推進してまいります。
「政治参画意識醸成」
熊本県議会議員熊本市一区補欠選挙、過去最低の投票率の更新・・・ある日の朝刊でこのような見出しを見て私は愕然としました。まちが豊かになることは誰しもの願いであり想いだと思います。しかしなぜ市民の政治参画意識は下がってしまったのでしょうか。戦後の日本は、経済発展という明確な目標があったため、民主主義の在り方やリーダーシップについて深く考察する機会がありませんでした。国民一人ひとりが政治をシステムとして認識しているというよりは、まずは参加して権利を行使するという義務であったように思います。しかし今日では、経済の成熟化や人口の高齢化が進み、また近隣諸国の経済発展が目覚ましい成長を遂げ、戦後復興の頃と比べると状況は変化しています。若者の選挙離れが深刻化する中、当時現役女子高生だったAdoの「うっせぇわ」はYouTube再生回数二億回を超え話題を呼びました。現代の若者が抱える社会に対する不満や怒りを歌に込めて世の中に対し訴えたことに多くの人が共感をしました。しかしこの歌は「抗議」ではなく大人への「断念と拒絶」であると私は考えます。最近では、閉鎖的、消極的で自分の考えを口にしない若者が増えたといわれています。しかし若者たちは実際「言わない」のではなく、「言えない」のが本当のところではないでしょうか。多くの若者は、凝り固まった社会のルールに身を投じ、不満を持ちながらも耐えているというのが現状のように感じます。若者が何を考え未来に対してどんな不安があるのか、その想いを集約し、私たち青年会議所が行政との懸け橋となり、若者の政治参画意識醸成に努めていきます。また、投票率低下の原因に政治的疎外意識争点の多様化、度重なる政治家の汚職など幾度となく市民の思いを裏切られてきたことがあると考えます。全ての国民の意見を聞くことはできません。しかし私たち青年会議所が歩みを止めてしまったら、まちの未来は誰が担っていくのでしょうか。選挙権は私たちに与えられた権利です。市政を生かすには私たちは投票という行動で意思を表示するしかありません。そしてその意思表示は一人でも多くのメンバーの郷土熊本愛が醸成されることで政治参画活動の第一歩となります。2022年4月より成人年齢が引き下げられ18歳への選挙権が認められました。成人年齢を18歳に引き下げることは自己決定権を尊重するものでありその積極的な政治参加を促すと期待されています。本年も若年層を巻き込み、マニフェスト政治の本質を問い、今後の未来に対してどのように影響するのかを検証し、市民全体の投票率向上に向けた仕組みを構築し、政治参画意識が醸成される運動をおこないます。
「姉妹JCとの友好関係強化」
私たちが所属する団体は、「Junior Chamber International」です。世界各地130を超える国々にメンバーが存在し、それぞれ各地域で様々な運動を展開しています。青年会議所会員であることは、国際組織の一員であるわけです。熊本青年会議所は現在、台湾の仁徳国際青年商会とマレーシアの丹絨武雅国際青年商會と姉妹締結を結んでおりこれまで長年に渡る様々な交流をおこなってまいりました。しかし2019年の丹絨武雅国際青年商會の周年事業を最後に対面交流がストップしています。アカデミーメンバーは、もちろん、他のメンバーもお互いの顔を認識することは難しくなってきていることは明白です。本年度は今一度交流を通じて互いに成長できる強固な関係を築いてまいります。また2023年には阿蘇くまもと空港は、世界と地域に開かれた九州セントラルゲートウェイとして生まれ変わります。自然災害からの復旧、復興とその先のまちづくりの現状を九州のモデルケースの一つとして、知っていただくことは、まちづくりに対する気づきや意識変革を促し、熊本だけにとどまらず九州全域の地域活性につながります。アフターコロナの中、今一度、姉妹JCとしての絆を深め、互いの情報交換をおこない、自分が所属する団体が国際的な組織であることを認識してほしいです。青年会議所は機会を提供される場です。しかし、与えられたことに、目的や意味を持たなければ何の価値もありません。行動しなければ得られるものも得られなくなります。他LOM地域の文化や人たちとの交流を通して、メンバーの創造性を豊かにしていただき、共に成長できる関係構築に本年はより一層力を入れてまいります。
「会議体のありかた」
青年会議所という団体は、その名の通り会議をおこなう団体です。事業計画書を作成し、調査、検証し運動につなげていきます。しかし近年、メンバーの在籍年数が短期化してしまい、議案構築できるメンバーが減少しこれからの青年会議所を作っていくことに不安視されています。運動を起こすために課題背景を見つけ、その運動の真の目的を理解し、バックキャスティングで物事を考える必要があります。地域から信頼される組織として総務は適正かつ厳格なチェックをおこないルールの範囲内で臨機応変に組織運営を行わなければい。財務は、予算の透明性はもちろん、運動、事業が最大限効果を発揮するために対効果を見極めるとともに健全化を図る必要があります。会議運営に関してもWEB方式も視野に入れリアル開催からハイブリッド開催、完全WEB開催と臨機応変に対応するとともに、時代の流れに沿った新しい様式も模索していきます。また社会に信用される組織であるためにコンプライアンスの遵守を徹底しておこない健全な組織運営を遂行してまいります。LOMで行われている総務、財務チェックを事業当事者だけが理解するのではなく、メンバー全員が知識として習得できるような取り組みも実施し、その知識を青年会議所だけでなく社業へと役立てていただきたいです。また青年会議所には出向というシステムがあります。ブロック協議会や地区協議会、日本青年会議所に多くのメンバーで出向し、他LOMのメンバーと切磋琢磨し個人のスキルを上げることはもちろん、得た知識や思考をLOMへと還元していただき、中長期からみる熊本青年会議所の成長にメンバー一同コミットしていきます。そうすることで、熊本青年会議所が起こす運動は、地域を活性化させ共通理念を再認識するとともに自らの成長を追い求める高い志をもった人財となりまちに灯りをともす先駆者としてのリーダーを育成できると確信しています。
「最後に」
私は冒頭に青年会議所は社会に対して何をもたらす組織なのかを問いました。「新日本の再建は青年の使命である」74年前に始まったこの言葉から私たちは歩み続け、この熊本青年会議所も関わりを持ち地域に根差した運動をおこなってきました。まちが大きな成長を遂げる為には、社会の小さな潮目を見極め、今後の社会課題になり得る芽をひとつずつ摘み取る必要があります。私たち青年会議所の運動、活動が小さな一歩でも着実によりよい豊かな社会の実現に向け歩みを止めず進めてまいります。私たち一人ひとりが当事者意識を持ち、あらゆる問題の原因や本質を捉え解決する力を身につけ、社会に少しでもインパクトを与え、このまちの再建は青年会議所に任せるといわれるよう邁進してまいります。そして、多様な人々に対して物事の正しい理解を促す力、組織を正しい方向に導く統率力、中長期を見据えた人財育成、広い視野からの決断力、判断力を養い「修練・奉仕・友情」の三信条を胸に熊本の明るい豊かな社会実現の一助となるため・・・私たちは一人ひとりが先見の目を持ち課題解決に向け歩む組織であるために探求心を持ち続ける団体でありたい。1人が100歩あるく組織ではなく、100人が1歩あゆむ組織を目指し、これからも邁進していきます。一人でも多くのメンバーの郷土熊本愛が醸成され、まちに変化を起こし、これからも誰もが誇れる熊本を目指し、まだ見ぬ素晴らしい熊本と出会うために、それぞれのメンバーが自分の未来に、熊本の未来に探求心を止めずに歩み続けてほしい・・・
2023年度基本理念
~新時代の幕開けだ!一人ひとりが探求心をもち、今こそ新日本の再建の大航海を始めよう!~
2023年度基本方針
魅力ある郷土熊本を発信
青少年とスポーツの未来を創る
郷土熊本愛の醸成
ダイバーシティ戦略による人財の創出
多様性を強みに変える強固な組織運営
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