理事長所信

はじめに

私の今を形作るのに大きな影響を与えたのは、自らの不登校の体験と、5人兄弟の末っ子であるダウン症の弟とともに育ったことです。
不登校と聞けば、暗いイメージを持ちがちですが、家族に認められ、地域に受け入れられていた私は、自己否定することなく明るく過ごしていました。その中で、「学校に行かないやつは、うちの店に来るな。」と言われ、明確に大人から拒絶の意思を伝えられ傷ついたこともありました。私の意思を守ろうとぶれることなく行動した父や母、学校に引き戻してくれた先生との出会い、素敵な大人の背中を見ることもありました。学校に行かなかったことで、後に学力や常識の点や、協調性のなさから、痛い目に遭うこともありました。不登校を通じて得た、沢山の人との交流、貴重な経験が、私に「己を尊び、人を尊び、人間を大切にしなければならない」という価値観を与えてくれました。
ダウン症は体細胞の21番染色体が1本多く存在することによって発症する先天性の症候群です。肉体的成長の遅延、特徴的な顔つき、軽中度の知的障害に特徴づけられる遺伝子疾患で、日本にはおよそ5万人の患者がいると言われています。そんな弟と共に育つ中で、色んな体験をしました。障がいを持つということで、何の根拠もなく色眼鏡で見る人がいると知り悲しみを抱き、共に学び行く中で、何の偏見も戸惑いもなく障がい者ではなく個人として弟を受け入れる同級生たちがいる事実に、人の素直さと優しさを実感したことがありました。療育という言葉がありますが、私の母は幼い妹の手を引いて、弟を背負い、福岡まで療育を学びに行っていました。なぜ熊本で療育を学ぶことが出来ないのか、素朴な疑問を抱くことがありました。教育しても意味がないと言われていたダウン症の弟を、一所懸命育て上げ、一人で買い物をし、バスに乗ることも出来るようになっていくのを間近でみることが出来ました。人の弱さと強さ、可能性の遥(はる)かさを感じ、「時に偏ることはあっても、人は学べば必ず成長し、良い影響を周囲に与えていく」という確信を得ることが出来ました。
2つの実体験から得た価値観と確信が自分を形作り、2つの実体験から、社会の在り方やそこにある矛盾を感じたことが「変えたい、変えなくてはならない。熊本をもっと良いまちにしたい。」という思いを抱かせることになったのです。
そんな私がJCに力を注いで行くのは必然だったのかもしれませんが、最初は人とのつながりを得ようと思い入会しました。言ってしまえば、己のために青年が集まる団体を賢(さか)しく利用しようとしていたのです。そんな信念に従って己が決めたことをやっていただけの自分を、選挙期間中の4月例会に出席したことで「あいつは愚直だから、応援してやらなくちゃならない。」ある先輩がそう言って評価してくれたそうです。その評価と支援がなければ今の自分はありません。市議会議員としての初当選は最下位、その差60票です。JCに入らなければ、色んな意味で違う人生を歩んでいたことだと思います。
日ごろの姿勢を評価し、面と向かっては褒めないけれど、認め、その人間のために出来る限り力を尽くす。そんな熱い青年が集い、自らの時間を作り、自らのお金を使い、故郷のために力一杯議論し、運動を展開する団体に、年々魅了され、毎年成長をさせてもらいました。ただ仕事をしているだけでは得られない膨大なチャンスが、あちこちに転がっている宝箱から、知識やかけがえのない友人を得ながら12年が経ちました。この間、本当に多様な経験をする中で、熊本青年会議所という団体が、真にふるさと熊本に必要な団体であるという認識を深めることが出来ました。
その熊本青年会議所が今、岐路に立たされています。熊本地震という大きな壁が今、私たちの前に立ちふさがっています。活動の根底にある、「熊本のため、市民のため、未来のため、今我々、青年がやらなくてはいけないことを、先頭に立ってやり続ける。」この炎を絶やすことなく、メンバー全員が己を形成する全てに愛を抱くことによって生じる感謝を持って、明るい未来に向かって歩む一年にしてまいります。

復興のその先へ

熊本青年会議所の魂の発露が、今回の平成28年熊本地震での、私たちの活動だったと考えます。震災直後のメンバーの安否確認、救援物資の受け入れと県内各地への配送、各地避難所への炊き出し、行政と連携した各種施設への配送と全自治会長への連絡、ボランティアを活かした各避難所での聞き取りと情報収集、瓦礫撤去や解体の支援、現状を把握しながら、出来る最大限の力を発揮しました。誰もが大変な中で、自らの仕事を通じて復興に立ち向かうメンバーからの、青年会議所の活動に参加参画できなくて申し訳ないと語った言葉に、こんなに大変なときにそんな言葉が出る人と共に活動が出来ることの幸せを感じました。そして、そのメンバーに、仕事をすること、自らが復興することが、郷土の未来を切り開く復興だとはっきり伝えられたことは、熊本青年会議所という団体で、立ち止まることなく活動を続けてきたからこそだと実感しています。そして、本年度も復興は続きます。
今回の震災は、郷土の誇りである熊本城と市内各地に、大きな傷跡を残し、行政や市民、我々熊本青年会議所が描いていた未来を大きく変えました。本年度は、その大きな変化を受けた上で、私たちは復興へ向けた新たなビジョンを共有しなければなりません。そのビジョンとは、震災によって揺らいだ市民の日常生活を回復させること、震災を通して改めて実感した誇りを取り戻すこと、落ち込んだ産業の再活性化とそれに伴う経済の再生をすることだと確信します。その全てを一年で実現させることは出来ませんが、そこにつながる流れを起こしていかなければなりません。ビジョンの実現へ、1ミリでも近づくことの出来る復興支援と復興事業を実施します。ぶれずに前を見据え、信念をもって郷土のために行動し、周囲を慮(おもんぱか)り、明るく率先して運動を続けていく。多くの人を巻き込み、共感を呼び、郷土を誇り復興に取り組む、メンバー全員が「格好いい大人」となれるように動いていきましょう。
また、震災支援を全国から受ける中で、改めて「恩返しと恩送り」を意識しました。そして、いつ何時、どんな災害が起こるかわからない日本という国の中で、必要な「連携」や「準備」が足りていなかったということにも気づきました。改めて、熊本青年会議所全体で国内や国外での災害時に、迅速に対応し、現地に必要な支援を送れる体制作りと、今後またいつ起こるか分からない災害に耐えられる強い地域を作る、これまでにないつながりを創っていきます。

国際への道を歩む

復興と共に、地域に必要なものは何かと考えます。それは、未来を見据えた発展です。復旧復興は火急の要件ですが、それだけでは、前にあった状況に戻るだけになってしまいます。震災前の熊本に足りず、そしてこれから培わなくてはならないもの、それが何かといえば、国際化です。
熊本の産業構造を俯瞰すれば、見えてくるのは豊かな1次産業、弱い2次産業、地勢と歴史を背景にした強い3次産業です。日本社会の現状と今後を見据えれば、人口減による地方の衰退が容易に想像できます。手をこまねいていては、衰え行くばかりの状況の中で、長所を活かす形で都市ブランドを確立し交流人口を増大させて行くのは急務であり、国際化はこれまで熊本市が手を付けても、中々成果を上げて来られなかったものに他なりません。今こそ、食・歴史・伝統・文化・自然、熊本市圏域は、誰が訪れても満足できる都市圏だと断言し、その魅力を存分に活かして、世界の人を引き寄せるまちとならなくてはなりません。そして、九州の中心、核として、全体の発展に寄与するようなビジョンを有し、明るい未来を描き行動できるようにしていかなくてはならないのです。
そこで本年は、未来へのつながりを持ったJCIアカデミーを開催します。このつながりとは、JCI世界会議や、ASPAC(アジア・太平洋エリア会議)などの国際会議の誘致であり、各国と熊本とのつながりであり、アカデミーの参加者であるデリゲイツたちと市民や子供たちとのつながりです。震災の次の年である今だからこそ出来る発信を行い、行政や各種団体とのつながりを活かし、武士の文化、豊かな水と緑を有する熊本ならではのJCIアカデミーを開催します。さらには、そのつながりを一過性に終わらせることなく、新たな熊本の未来を数多(あまた)生み出すものとしなければなりません。それが、熊本の国際化への第一歩だと確信します。その一歩を踏み出すことで、様々な可能性が広がり、熊本は変わります。平成27年度で留学生51ヵ国735名、外国人住民約28カ国4,640名が熊本で暮らしていますが、74万市民の内の何人が、これまで海外から来られた方との交流を持つ機会を持てたでしょうか。中学校の子供たちがALT(外国語指導助手)の先生と交流するか、職場や在熊の海外料理店などで交流を持つかくらいしか機会がないのが現状です。機会がなければ実感できず、実感が出来なければ想像できず、想像が出来なければ可能性を押し広げることすら出来ません。また、古くから熊本は保守的であると言われてきました。良きものを守るのは本当に大切ですが、未来を予測し、取り入れるべきものは取り入れることもまた必要だと考えます。それにはやはり、新たなる機会が必要です。JCIアカデミーという機会が、文化や言語、生活を異(こと)にする「よそもの」と言えるデリゲイツを呼び込み、「わかもの」であるメンバーや子供たちと交流をする。その中で、それぞれが「違い」を受け止め、相互理解の中から、これまでにない価値観を学び、新たな地域の可能性や己の未来、熊本の在るべき姿が導き出されるのです。
そして、一人でも多くのメンバーが世界とのつながりを意識し、これを切っ掛けに変化や気づきを得るために、モンゴルで行われるASPAC(アジア・太平洋エリア会議)、オランダで行われるJCI世界会議においても「くまもと」を発信します。情報通信技術の発展や、交通手段の多様化、SNSの発展により、大都市を介さずに、私たちが直接世界とつながれる今だからこそ、そのつながりを産み、育て、「世界のくまもと」へと導くきっかけの年としましょう。また、姉妹JCであるマレーシアの「丹絨武雅(タンジュンブンガ)国際青年商會」、台湾の「仁徳(レンデ)国際青年商會」との交流も継続します。先輩たちが創り上げた世界とのつながりを、継続させ、より深くさせていくことが、国際都市への確かな道の一つです。

志同じうする者相集う場所

老子の言葉に「知足者富、強行者有志(足るを知る者は富み、強(つと)めて行う者は志有り)」という一節があります。様々な解釈がありますが、足るを知る人は富める者であり、努力をしている者は志ある者である、というこの言葉に私は熊本青年会議所のメンバーを思い浮かべます。日々の仕事を全うしながら、地域の未来を明るく照らすために、自らの出来る限りの努力を続ける。今回の震災においても多くのメンバーが被災しながらも、仕事や地域活動、青年会議所での支援活動を通して復興に取り組む姿に熱い志を感じました。しかし、最初から誰もが高い志を抱けるわけではありません。この、志を養っていくものが、メンバーが集い熊本青年会議所の方向性を一(いつ)にし、全体の意気を高める例会に他なりません。
そして、私たち青年は、知らなくてはならないこと、学ばなくてはならないことが、まだまだ膨大に存在しています。その一つ一つを少しずつ身に着けられる、触れたことのない知識、知的好奇心をくすぐるこれまでにない経験が出来る「行きたい」例会を行わなくてはならないと考えます。そうすることによって、例会に多くのメンバーが集い、一人一人が例会を通して少しずつ成長していき、その成長を仕事や家庭で活かしていく。成長を実感し、またメンバーが例会に集う。個々の進化は必ず地域の未来を明るく照らします。好循環を生み、志を高め、進取の精神を養う例会を一年通して実施していきます。

自らの足で立つために

「熊本には何がありますか。郷土にまつわる偉人は誰がいますか。何が名物で、何が名産ですか。」と問われた時に、間髪入れずに答えられる大人が何人いるでしょうか。日本の教育は、自国や自らが住まう地域の素晴らしい歴史・伝統・文化を、実感を伴う形で教えていません。分かりやすい楽しいエンターテインメントが溢れる現代において、歴史・伝統・文化は古臭い面白くないものとレッテルを貼られているのではないでしょうか。前述した大人の範疇(はんちゅう)に入る私たち青年も、郷土の歴史・伝統・文化に精通しているわけではないという状況の中で、失われてはいけないものが失われてしまう焦燥感を抱きます。
また、今の子供たちには圧倒的に体験が足りないということを、PTA活動や3人の我が子との触れ合いを通じて実感しました。ゲームやテレビが身近にあるという現代社会において、スイッチ一つで様々な知識や楽しさを得られ、レンジでチンで温かいご飯が食べられる、余りにもお手軽な環境が子供たちから多くの体験を奪っています。自らの手で創り上げる楽しさや、集団で何かをやり遂げる喜び、困難や試練に挑戦しそれを乗り越える達成感を私たちは知っています。それは確かに己を大きく成長させ、気づきを与えてくれました。つまりは人間の成長に必要なものは機会であり、「負荷」なのです。重力という星が有する見えない力が、今の我々を形作ったように、人生のある期間の最善の負荷が、人を大きく成長させるのです。
これまでに熊本青年会議所が取り組んできた郷土愛を育み、生きる力をより深め伸ばすために、本年度は「国際」という要素を活用します。国際という負荷の中での学びと体験は、強烈な感情と共に、子供たちの心の中に根付いていきます。異文化との交流から、青少年が熊本の素晴らしさに気づき、何歳になろうとも自らの言葉で故郷を誇れるようになる絶好のチャンスです。そして、世界を知るというこれまでの生活や学習の中にはない新たな経験を得られれば、青少年の中には確かな自信を育むことが出来ます。郷土と己に対する自信は、全ての基礎となり、自立への道となります。自立した青少年は、己のルーツである家族や地域への感謝や愛着を抱き、どのような「負荷」が目の前にあっても、自ら進んで行動し、明るくそれを乗り越えられる生きる力を有しています。本年度の特色を活かし、事業を構築し、自己に自信を、郷土に誇りを抱く青少年の育成を行います。
また、青少年が得られる自立への機会と言えば、熊本県立盲学校生徒招待アイススケート事業があります。伝統あるこの事業を毎年開催することで、幼稚園から高校生までの盲学校の生徒は年を経るごとに、氷の上で立ち、滑ることが出来ていっています。年に一度でも勇気を持って臨めば、喜びと共に成長できるのだという実感を得られる体験は、生徒たちの意欲を高め、卒業後に自らの足で立つための自信を養うことにつながります。私たち青年も生徒たちと共に氷上を過ごすことで、人の可能性を感じ、誰に対しても優しく手を差し伸べられる心の豊かさを、結果として得られる青年会議所らしさが前面に出ている事業です。昨年50回の記念の年を終え、これから100回に向けて、本年度も多くのメンバーの参加のもと開催致します。

まちのために人をつくり御縁をつなぐ

熊本青年会議所はこれまで62年間、様々なまちづくりに取り組んできました。時代時代で、新しいことに取り組み、これまでにないものを地域に生み出していく。生み出すことによって、地域が活性化するとともに、それに携わったひとが成長していく。青年として、前例にとらわれず、新たな価値を創出していき、それによって己の成長や地域の変化を実感できることが青年会議所にメンバーが所属する一つの魅力だと考えます。
未だ低い市民の政治参画意識を向上させるために、私たちが取り組み始めたのが、ローカル・マニフェスト検証事業です。これまでの12年間の取り組みによって、首長と行政に私たちの検証活動に積極的に協力する姿勢をもっていただくことが出来ました。首長は緊張感を持って事業に参画していただき、我々は行政の協力を得ながら的確にマニフェストについて検証し、指摘を行うことが出来るようになってきています。しかし、マニフェストサイクルの周知と政治参画意識の向上については、投票率の低さに見られる通り道半ばです。本年度は事業を、政治参画意識の高いひとづくりに焦点を当てて実施していく一年と致します。
また、交流拠点都市へと近づくべく、これまで7年間に渡って九州中央自動車道早期完成に向けた取り組みを行ってきました。私は今回の震災を受けて、災害後の支援や復旧・復興の点でも交通インフラの重要性を強く感じました。今後高い確率で起こりうる南海トラフ地震等の大地震の際に九州の防災拠点都市として、今回恩を受けた各地に支援の手を迅速に届けられるようになるためにも、一日でも早い完成を目指すのは重要なことです。本年度もまた一般社団法人延岡青年会議所と力を合わせ、早期完成に向けての運動を展開し、九州中央自動車道を必要だと考えるひとを増やしてまいります。
それぞれに、率先してことに臨めば、新たなつながりと多くの学びを得られる事業であり、かけた時間と労力の分だけ、市民とメンバーに様々な気づきをもたらす、正しくひとづくりの事業です。未来のまちづくりをより明るいものとするべく、御縁をつなぎ、前向きなひとを増やしていきましょう。
そして、この数年、メンバーを大きく成長させてきたのが、全国城下町シンポジウムではないでしょうか。本年は、姉妹JCである公益社団法人福井青年会議所が主管します。20年を超える絆を元に、大いに大会を盛り上げるために多くのメンバーで参画し、熊本青年会議所の力を福井の地で存分に発揮し、熊本と福井の関係をより深化させましょう。熊本地震によって被災し、復興中の熊本は、1948年の福井地震からの復興を成し遂げ、「不死鳥の町」を合言葉にしている福井から学ぶことは多々あります。姉妹都市の原点を多くの人が知り、人と人とのつながりが増え、遠く離れた九州と北陸で、お互いに支えあい高めあう良き友人がいるということは、今回の震災における福井青年会議所からの支援で分かる通り、災害に対する街の強さを高めることになります。これからも相互理解と交流を続けて行きます。
また、まちづくりを考える上で自治体との関連性を無視することは出来ません。熊本市が政令指定都市になって、本年で5年になります。新しく区割りというものが行われ、それぞれの地域で区役所を中心にまちづくりを行っています。熊本青年会議所のメンバーも、それぞれ各区、若しくはその近郊で住み暮らし、仕事をしています。これまでそういったつながりを、作っていませんでしたが、青年が地域と関わり、未来を考え、何か起こった際には協力することが大切だと、今回の震災を通して改めて感じました。本一年は、正副理事長が主導して、区ごとの新たなつながりを創る一年と致します。それを継続することで、メンバー間のつながりとメンバーの住まう地域への理解が深まり、これまでにない地域の特色を活かした新たなLOMの事業展開やそれぞれの気づきによる地域活動への参画へとつながり、熊本市と熊本青年会議所に必ず良い影響を与えていくことでしょう。

可能性を取りに行く

青年会議所には、出向という制度があります。時間とお金はかかりますが、LOMの活動や仕事をしている中では、決して得られない、大きな器を感じられる人との出会いと想像もしていないような体験を与えてくれる制度です。出向の妙味は、出向先での一期一会や、出向先での自分の立ち振る舞いが熊本の印象を決めてしまう等など多岐に渡ります。私自身、出向を何度も経験し、心から尊敬できる人や、親友、一生付き合いたいチームが出来ましたし、出向しなければ行かなかったであろう国に足を運びました。振り返れば、出向は間違いなく己の成長に直結していると確信します。個の成長は組織に刺激を与え、これまでにないつながりは地域に必ず変化をもたらします。外から見る故郷は、古くもあり新しくもあり、新たな価値観と変革への意思を抱かせます。若いからこそ出来る、単年度制だから臨める、己の大きな成長と熊本青年会議所がより強くなるチャンスを生み出すのが出向という制度だと考えます。そこで、今年度は、組織を導く理事会構成メンバー全員が出向します。私たちは青年です。熊本県に、九州に、日本に、世界に、自分と組織と郷土の未来を切り開くために、変化を臆せずどこかに自らの新たな可能性を取りに行ってください。

熊本を強くする

この愛すべき団体である熊本青年会議所は、今、大きな岐路に立っています。少子高齢化、産業の移り変わり、価値観の変容、何より今回の地震による会員拡大のしづらさ、このまま何もしなければ、年々会員数は減少し、地域に必要な団体としての役割を果たすことが出来なくなってしまいます。今回の震災に際して、大きな役割を果たした熊本青年会議所の火をより大きく燃え盛らせることは、本年度の理事長という役をいただいた私の使命だと考えます。
現状の厳しさと共に、卒業という避けられぬ運命の前に、メンバー数は毎年必ず減少していきます。拡大を着実に行い、未来の熊本青年会議所の可能性を大きく広げ、今後も常に熊本の新しい未来を創造できるように、必ず60人の拡大を達成します。そして、仮入会に至った青年が、入会の意思を確固たるものとし、誰一人欠けることなく同志となってもらいたいと思います。入会までのサポートを行いながら、青年会議所の価値と熊本青年会議所の足跡(そくせき)を理解し、明るい自分と地域の未来を描けるように、私たちが大切だと考えるものを一つ一つ着実に伝えていきましょう。
JC人生を三分割して、経験を積み、実践をし、次世代に伝えるということを教えていただきました。短い期間でも活動に参加し参画すれば、素晴らしい経験体験が出来、成長や深い友情を得られる熊本青年会議所に、12年在籍して考えることは、三分割できるように在籍期間が多いに越したことはないということです。一人でも多くの人に、スタッフや理事、出向などの様々な挑戦をしてほしいと考えますが、例年少なくない数のメンバーが卒業を迎えずに、途中で退会してしまう現状があります。これを変えるために、正副理事長が率先してメンバーの居場所をつくり、理事一人一人が意識をして委員会メンバーを巻き込み、多くのメンバーが青年会議所の本旨に辿り着くように62年間続いてきた魂の原点を伝えなくてはなりません。メンバーが諸活動と作り出す運動に意義を見出し、必要とされているという実感を抱き、意欲的に活動に参画出来るように、内なる拡大にも取り組み、卒業以外のメンバー減が起こらないように、通年で取り組んでまいります。これは、必ず熊本を強くすると確信します。己の活動に誇りをもって、本気で拡大に取り組みましょう。

正しく伝える

拡大をしていく中で、多くの方から熊本青年会議所のことを知らないと言われてきました。長い歴史と多くの会員を常に有して来たにも関わらず、団体の存在が広がっていないのは、「誰かに認められるためにやっているわけではない。」という原点から積極的な発信を行わなかったことが一つの要因だと考えます。これまで通りのスタンスで、行政や各種団体には認識されていても、多くの市民には知られていない現状をそのままにしておけばどうなるでしょう。いざ、我々熊本青年会議所が市民を巻き込んだ運動を展開する際に、毎回のように、詳細な説明や理解を得るための努力をしていかなくてはなりません。認められるためではなく、市民や各種団体とつながり、明るい豊かなまちづくりを加速させるために本年度の広報は、対内、対外への積極的な発信を行います。我々が何を考え、何を為したのかを知っていただくために。市民と共に、未来をより良いものにしていくために。
また、全ての事業は、熊本青年会議所の魂と、事業構築したメンバーの努力と汗の結晶です。会員から集めたお金で事業を行い、様々な企業や機関を巻き込んで、熊本を変えるための事業を実施する以上は、それを内外に余すところなく発信していくことは、団体としての最低限の義務であり責任であると考えます。私たちが郷土に自信を持ち、未来に思いを馳せ、熊本が挑戦するまちとなるべく、ありとあらゆる手段を講じ、一人でも多くの市民、そしてメンバーに熊本青年会議所が届く、「正しく伝える」広報を展開していきます。

参画しなければならない場所へ

これまで8年間、理事として熊本青年会議所の会議を囲んできました。己の不甲斐なさから、何度も臨時を囲んでもらうことがありました。予定を変更して会議を囲んでくれる理事のメンバーに対して情けないやら申し訳ないやら。その体験から思うことが一つあります。本当に準備をしたのか、調査をしたのか、真摯に議案に臨んだのか、背景を読み解き目的を定めることが出来たか、一丸となって手法を編み出す努力をしたのか、検証は出来るのか、常任理事・室長や副理事長としては理事・委員長やスタッフ、委員会としっかり関係を持つことを心掛けたか。出来ていないことが沢山ありました。そして、「ラインの人間に毎日電話してみろ」と言われたことを思い出します。つながりを自ら強め、委員会全員で練り上げた議案こそが、理事会での前進を生み出すものになると確信します。本年度の会議は、メンバー全員で会議や議案のルールに向き合い、それを守る。約束を果たした上で臨むものとしたいと考えます。
約束を果たすためには、まずは約束を知らなければなりません。そこで本年は、徹底して、会議や議案作成のルールの周知を行い、それを全員で守れるように適切に発信していきます。その上で、上程者、作成者、受理者がお互いの責任を果たしつつ、会議を成立させていきましょう。また、青年経済人であるメンバーが貴重な時間を費やし集まる、全ての会議は千金の値があるものでなければなりません。同じ議論を繰り返させないこと、事業に割り振られた予算の透明性が確保出来ていること等のチェックを事前に行い、「新たなアイディア」や「視点の多様性」が確保できる、意欲を掻き立て気づきを得られ参加する意義のある会議運営を行います。
約束を守り己の担いに全力で立ち向かうことで生じる情熱を持って、会議を常に前進する意義ある空間とすることによって、全員が無関心から脱却し、自分事として誰もが参画しなければならないと思える場所とします。

結びに

被災地の只中にいる私たちは、いま、様々な不安を抱えながら活動しています。自らの将来、家族のこと、仕事のこと、熊本の未来のこと、未来を描くのが、活動を続けていくことが困難だと、多くの市民が考えていることでしょう。私は、困難を踏み越え、不安を打ち砕くために、今こそ我々が前を向き、明るく豊かな未来を市民に提示し、優しく喜びに満ちた郷土を実現するために、持てる力を最大限発揮することこそが必要だと確信します。その為には、決意と覚悟が必要です。そして、決意と覚悟を持つためには、何より愛が必要です。愛の対義語は無関心と言います。自らに、家族に、会社に、故郷に無関心な人間は、決めることも定めることも出来ないのは真理ではないでしょうか。この熊本青年会議所に属する、属しようとする人間に愛がない人間は一人もいないし、その愛を育む、人間力を高めることこそが我々の大きな目的です。私は2017年度を敬愛する合気道の開祖である植芝(うえしば)盛(もり)平(へい)先生の言葉「萬有愛護」を胸に、メンバー全員が、己を整え、仕事を全うし、価値観を確立し、活動に対する確信を深め、故郷のために、愛と希望をもって運動を作り上げられる一年にしていくことを誓います。

【2017年度スローガン】

萬有愛護
感謝を基底に全てに臨め

【2017年度基本理念】

愛を持って実現しよう
郷土を誇り進取の精神を持った青年がつくる
明るく優しい熊本